どうしたってこうしたって、先生はあたしのものにはならない。そんなこと言われなくたってわかってるけど。
 ちょっとでも可能性があるかもしれない、というあたしの小さな期待は、すぐに粉々に砕かれるのだ。

 先生の左手の薬指にある指輪が、嫌味なくらいキラキラと光って見せる。



 先生、あたしがわざわざ授業の質問しに行く意味、わかってないでしょ。

 先生、他の女の子としゃべってる先生見てあたしがヤキモチやいてるの知らないでしょ。


 だってあたしは”ただの生徒”だもん。






 「先生、目痛い。タバコ消してよ」



 「ああ、悪い」なんて言ってすぐにタバコを消してくれる先生は、きっと、一生、絶対、気づかないんだ。







こ の 恋 を 遊 び だ と 笑 っ て
(タバコのせいにして隠した涙は、ぽたりと落ちてスカートを濡らした)