「二次関数とか方程式の作り方とか、そんなのは分かんないけど、でも、私は、山本が好きだよ。それだけは分かるよ。」
考えたときは我ながらいい言葉だと思ったけど、実際口に出してみると案外クサかった。でもいいや。もう口に出して言っ
ちゃったんだからしょうがない。山本を見るとぽかーんと口を開けて心底驚いているようだった。(はっきりいってアホ面だ
った。)告白したのは人生でこれが初めてってわけじゃないけど、こんなに緊張しなかったのは初めてだ。山本の目をじっ
と見てると「えーっと・・・」とかなんとか口ごもりだしてなんだかおかしかった。(こんな風に相手の反応を見て楽しんでる私
は悪女みたいだ。断じて違うけど!)
「・・・俺も、好き」
そう小さく呟いた山本を世界で一番愛しく思った。でもその後「二次関数分かんねーのかよ」とぼそっと呟いた山本は全然
愛しくなかった。それでも、照れながらも優しく笑ってくれた山本は、やっぱり私が世界で一番好きな人だった。
世界 で きみ ただひとり